2つの表現方法 積分式と微分式

レゴで曲面や微妙な傾斜を表現する際の組み方には、細かな呼び名は人によりますが、「積分式」と「微分式」の2種類があります。

私の設計したロゴ2種を見比べると大体の雰囲気は理解できるかと思います。

今から詳しく解説していきます。

 

 

積分

積分式はマインクラフトのように対象をドット化してレゴで再現する方法です。

f:id:nagani:20190929234016p:plain

積分法 - Wikipedia

上の画像はWikipedia積分法についてのページからの引用です。曲線を長方形で埋め尽くすプロセスからレゴでの曲面表現と似ているのがわかるかと思います。おそらく最初に積分式と命名したレゴファンもこういった図を連想したのでしょう。

代表的な積分式の作品として、東大レゴ部が十八番とする球体を紹介します。

f:id:nagani:20190930000144j:plain

https://twitter.com/utlc2007/status/1086609446023778304

一部を見ると角張ったプレートの塊ですが、少し離れて見るときれいな球体になっていることがわかります。MOCでよく見かける表現方法です。

 

 

積分

積分式はウェッジパーツ、曲面パーツの湾曲、ヒンジパーツやテクニックパーツで生み出した傾斜など活用して既存パーツにない角度を表現する方法です。

 数学的にうまい説明は思いつきませんでした。曲面を接線の集合体による多角形と捉え直すといったこじつけは出来ますが、積分の対比と考えたほうが素直かと思います。

 東大レゴ部の球体の対比として、LEGO IDEASで見かけた微分式のサッカーボールを紹介します。

f:id:nagani:20190930001246j:plain

LEGO IDEAS - Product Ideas - Classic Soccer Ball

球体の直径の違いもありますが、積分式と比べて滑らかさが格段に向上していることが見て取れます。しかしヒンジやペグで特殊な角度をもたせると1箇所のみの接続になることが多々あるので注意が必要です。微妙な傾きを付けるためにスターウォーズの公式製品で頻繁に使われている印象です。

 

 

イリーガル

第3の表現方法です。

小さなパーツを大量に繋げた際に各パーツ間の隙間の影響で発生するたわみ歪みを利用して曲面を表現します。あるいはパーツ同士を完全には接続せず、少し浮かせることで微妙な角度をもたせます。

こういった本来想定されていない接続強度上問題がある「イリーガルビルド」を用いた表現は、当然ですがMOCでしか使われません。

 

 

※個人の見解

図面のあるモノの再現に限って言えば、個人的には微分式が好きです。一部のビルダーが懸念するように、3Dモデルを自動で積分式に変換するようなプログラムが登場した場合、そのプログラムで作られた作品はビルダーのものと言えるのか? プログラムに代替されにくい微分式を追求したいと思っています。

もちろん図面との正確性が必要ないデフォルメ再現やオリジナル作品の場合は積分式も使いますし、むしろ積分式のほうが好みです。

f:id:nagani:20190930003828j:plain f:id:nagani:20190930003842j:plain f:id:nagani:20190930003922j:plain

レゴランドイカカニ、イセエビを積分式で作りましたが、記憶を頼りに基本ブロックで表現していくのはとても楽しいものです。

(イリーガルは非合法なので手を付けてません)