菊月001 ブログ開始まで

ミニフィグスケール(≒1/40)で日本海軍の睦月型駆逐艦「菊月」を制作しています。ブログ開始前から作業を進めていたので、時系列順にこれまでを振り返ります。

 

9月12日

菊月図面発見、制作を決意

デフォルメスケールでない限り、実在する人工物を再現するレゴ作品を作るときは図面に合わせたいと常々思っています。しかし旧海軍を題材にすると図面がほとんど手に入りません。良質な図面を得るためには高価な図面集を買うか大和ミュージアムに出向いて資料室で複写してもらうしかない。そう思っていました。

ところが偶然、菊月戦友会である駆逐艦菊月会によって菊月の図面がpdfで公開されていることに気づきました。最高です。

菊月の図面を無料で公開します | 駆逐艦菊月会

 

幸いにも菊月の主砲である12cm単装砲の設計は行っていたため、早速図面を参考にLDDで設計していきます。

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https://twitter.com/nagani_zzz/status/1172061266510143489

主砲にスケールを合わせると全幅24スタッドになることが判明しました。縮尺は約1/37。全長2.8mの超大型作品になります。これほどの大型艦船作品は国内だと三井淳平さんの1/40大和を除いて例が無いはずですが、むしろ興奮します。何年かかっても完成させようと思い立ちました。

せっかくpdfの図面があるので、ポッチが描かれた方眼を合成して指標にします。八角形になっている主砲基部の対辺間が8スタッドになるようにサイズを合わせつつ、ポッチ方眼をフォトショップで合成しました。

 

9月13日

図面完成、画像ビューワ探し

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制作のサポート用に2×8の範囲を交互に赤くしています。

29999 × 13701ピクセル、ファイルサイズ85MBという化け物png画像が完成しました。画像の大きさゆえに並大抵の画像ビューワアプリではメモリを食い尽くしてしまい、資料としてLDDの横で開き続けるなんて芸当はとても出来ません。この図面を快適に閲覧できる軽量ビューワを探してnomacsというアプリに辿り着くまで、丸一日かかりました。

 

9月14日

図面のLDD複写、艦首設計開始

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https://twitter.com/nagani_zzz/status/1172718933318569984

前日制作したポッチ方眼付き図面をプレートパーツでLDD上に再現していきます。

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https://twitter.com/nagani_zzz/status/1172776412039659520

平面図と側面図をLDD上に写したものをベースに今後の設計は進みます。

レゴで船体のような複雑な面構成をした立体を表現する場合、積分式と微分式の2つの表現方法があります。

三井さんの大和も海外ビルダーのアイオワもBrickmaniaのフレッチャー級駆逐艦も、私の知る範囲のフィグスケ大戦艦は全て積分式で作られています。しかし積分式で船体に生じる階段状の段差が気に食わないので、今回の菊月は微分式で設計します。かつてハマっていたペーパークラフトのノウハウも活かし、プレートをヒンジで曲げながら船体を形成する計画です。そもそも本物の船体はいわばプレートパーツのような鋼板を曲げて貼り付けて建造されるのだから微分式で作れないはずが無いのであって、船体の滑らかさが生むフネの美しさの表現において欠点のある積分式で設計するのはどうにも許容し難いものがあって――

船体の断面図を参考に骨組みをテクニックパーツで組みます。

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睦月型以前の日駆の特徴である船首楼端の丸みを帯びた膨らみを、カーブスロープで表現していきます。

 

9月15日

魚雷運搬軌条についてアイディア

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最近のセットで追加された新パーツにジェットコースター用のレールがあります。これを魚雷運搬軌条に使うことで実際に魚雷を台車に乗せてレール上を動かせるのでは、なんてことを思いつきました。あいにくこのパーツを持っていないので使い勝手が不明ですが、カーブレールもスケール上問題なさそうです。

 

9月15日〜18日

船首楼甲板フチ

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https://twitter.com/nagani_zzz/status/1174323512195960832

カーブスロープを利用した船首楼端の膨らみは、船体形状を表すためのウェッジプレートに沿わせつつ外側に垂れるように傾けなければなりません。2軸の傾きを持たせるためにボールジョイントパーツを多用しますが、どこのジョイント基部を設置して何度傾ければうまく噛み合うかといった指標は無いため0.5プレート厚単位の調整を数日に渡り繰り返します。

f:id:nagani:20190930020653p:plainhttps://twitter.com/nagani_zzz/status/1174330908029026309

しかし、満足行く出来になったものを図面と合わせると酷く肥大化していることが判明します。流石に許容できません。悲しきかな、作り直しです。

 

9月18日〜22日

浮気

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https://twitter.com/nagani_zzz/status/1174685828825735169

 数日かけた設計をやり直さねばならないという悲しみからツイッターで盛り上がっていた1/300架空艦ビルドに浮気……。徹夜でLDDを行い実質3時間で基本設計を完了させてしまいます。その後もディテールアップに時間を費やしてしまいました。

 

9月22日〜24日

船首楼甲板フチ再設計

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https://twitter.com/nagani_zzz/status/1176333501282406401

フチの傾斜部分のパーツ構成を「2×2カーブスロープと1幅タイル」から「2×2カーブスロープのみ」に減らしつつ全体の設計も見直すことで減量に成功。まだ僅かに図面より太いですが、この程度なら許容範囲です。

 基本的な片舷分の修正案は22日のうちに完成させるという電撃設計でした。その後じっくりと接続を強めるための微調整を行いつつ、両舷に修正を施しました。

 

9月24日〜26日

舷側

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 https://twitter.com/nagani_zzz/status/1177143001656619010

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https://twitter.com/nagani_zzz/status/1177494400709980160

テクニックパーツを骨組みにして板を貼り付けるように舷側を取り付けていきます。テクニックで頑丈に接続されているので強度は十分……、のはずです。

上に向かって反り広がった舷側を表現したかったので大満足です。全面タイル張りで船体の滑らかさを魅せられるのは微分式ならではの魅力です。

 

9月26日〜28日

甲板構造物

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https://twitter.com/nagani_zzz/status/1177877603023110145

舳先にかけて舷側をどう処理するかに悩み、気分転換に甲板上の様々な構造物を設計していきます。

 

ところがこの段階で大変なことに気づきます。

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45口径三年式12cm砲 - Wikipedia

 https://twitter.com/nagani_zzz/status/1177497378992971778

1年ほど前に12cm砲として設計したモノを主砲として利用していましたが、よく見ると似ても似つきません。12cm砲の実物は防盾があるタイプと無いタイプがあります。ところが拙作では、裸の砲で再現していた照準器などのディテールが、防盾を付けると干渉防止のためにかなり省略されています。せっかくのフィグスケなのにディテールが雑だと楽しさ半減です。

この砲を設計した時点では出来に満足していたはずなのですが、どうしてこれで良いと思ったのでしょう……。

 

 

 

 2日間の試行錯誤の末に

・全体のシルエット向上

・ディテール向上

・防盾の有無に関わらず共通のディテール

といった飛躍的な改良を成し遂げました。

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https://twitter.com/nagani_zzz/status/1177770893398818816

この主砲は計4門設置するので、早めに改良できて良かったとつくづく思います。

 

9月28日、29日

船首設計完了

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https://twitter.com/nagani_zzz/status/1178183435564642304

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テクニックパーツに限界を感じ、ヒンジでの接続に切り替えました。個人的にペーパークラフト的な組み方だと思っているプレート使いをしながら舳先に向かって組んでいきます。リアルビルドに耐えられる強度は多分あるはず。舳先付近の隙間埋めに苦労しましたが、無事美しい船体を設計することが出来ました。

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https://twitter.com/nagani_zzz/status/1178300876538011648

 

今後のこと

内部構造が見えやすいよう、左舷の舷側は空のまま進めます。

LDDで鎖を扱うのは骨が折れるので錨関係はリアルビルド時に行おうと思っています。

舷側に露出している長さ3の青ペグは舷外電路の基部のつもりです。とはいえ舷外電路をどのパーツで表現するかは全くの未定なので無用の長物になるかも。

 

これからはキリが良いところで随時記事にしていきます。

艦首部分のみになりますが、データが欲しい方はツイッターのDMに連絡していただければお渡しします。